ディフェリンによるニキビの治癒パターン

通常、様々な疾患とそれに対する治療法には、それぞれ理想的な治癒パターンのようなものが存在します。
ディフェリンゲルによるニキビ治療も例外ではありません。
それに基づいて、ディフェリンによるニキビ治療がどんな経緯をたどって治っていくのかを解説します。

患者さんの体質や治療に対する感受性、生活環境は十人十色ですので、あくまでも統計学的なデータとして「平均的な」治癒パターンと考えていただければと思います。
(もちろん、これはあくまで目安であり、パターン通り治療が進まなくてもまったく心配要りません)

治療開始 ディフェリン投薬開始
3~4日後 
副作用(随伴症状)が発現。
2週間後 
副作用が減少し、ニキビ減少傾向が見られる。
3ヵ月後(12週後)
ニキビ総数の明らかな減少
新生ニキビの減少とそれによって(目立つ)炎症性ニキビが激減する。
半年~1年後 
さらに継続外用によってニキビ総数の減少が見られる。

* 継続治療の意味
ディフェリンは、最低1年は継続していただくようにしています。
ディフェリンは ニキビの新生を抑える働きがあるため、継続することで新生ニキビが減少し、(たとえ新たにニキビができたとしても)初期段階のニキビに非常に効果的に作用するため、悪化して重症ニキビになることがなくなります。
そのため、(ニキビの数がゼロにならなくても)お顔の印象(イメージ)が変わってくるのです。

治癒を早める要因について

医学的には他剤との併用が効果的ですが、生活習慣によっても治療効果は変わってきます。

ディフェリンの継続使用によってニキビはある程度までコントロールできるようになりますが、それだけに頼らず、できるだけニキビができにくい生活環境を整えることもたいへん重要です。

以下、ニキビを作りにくい(悪化させない)ための生活習慣を挙げていきます。
他剤との併用についてはこちらをご覧ください。

治療効果を高める生活習慣の改善について

【生活全般】 ニキビの原因、誘因となるものを取り除く

ストレス、寝不足

過度のストレスや寝不足はホルモンバランスの低下やビタミンや栄養素の欠乏を招いてしまいます。 夜22時から深夜2時の4時間が、お肌の新陳代謝(ターンオーバー)がもっとも盛んです。できれば、この時間帯にすでに就寝していることが理想です。(就寝時は生体の活動が最小限に抑えられ、より活発に代謝が促されるためです)

飲酒

アルコール飲料は糖分を多く含み、皮脂分泌促進の原因になるなど、アルコール自体のニキビへの悪影響も様々なところで指摘されています。(後述の「食生活」にて解説しています) しかし、問題はアルコールそのものだけではなく、飲酒環境にも問題があることが多いようです。 特に居酒屋などでお酒を飲む場合、どうしても栄養の偏った食事となりがちですし、夜遅くまでお酒を飲むと、睡眠不足にもつながります。またご自身が喫煙者ではなくても、居酒屋などでは受動喫煙という形で悪影響を受けてしまいます。

喫煙

タバコによるニキビ増悪の因果関係は明らかにされていませんが、毛細血管収縮による末梢血流量の減少、活性酸素の発生など、ニキビにとってよい要素は見当たりません。

入浴

シャワーだけではなく、ゆっくりと入浴することで皮脂が流れやすくなります。入浴はストレス解消にもつながります。シャンプー、リンスのすすぎ残しに注意しましょう。

化粧品

過剰な皮膚表面脂質を除去することがニキビ治療の基本

・正しい洗顔を皮脂分泌に応じて、1日2回を目安に行いましょう。
・油分の多い化粧品(ファンデーション・クリーム等)は避けてください。
・油性成分の配合のない(少ない)化粧品は特に制限不要です。
・ノンコメドジェニック  毛穴のつまりによるコメドを誘発しない化粧品です。

ファンデーションもニキビを悪化させることがあるため、できればポイントメイクだけにとどめ、仕方ないときは油分の少ないニキビ用ファンデーションを使用しましょう。また、帰宅後はすぐにメイクを落とす習慣をつけましょう。クレンジングはできるだけマイルドなものを使用しましょう。
ニキビを隠すためのコンシーラーがニキビを悪化させることもあります。

ヘアスタイル

ニキビを誘発しないヘアスタイルが理想です。
毛先が皮膚を刺激したり、髪の汚れや整髪料が皮膚につくとニキビの増悪、誘発因子となりますので、できるだけ顔に髪がかからないように心がけましょう。
また洗顔時には髪をまとめてお顔全体をしっかり洗うように心がけてください。
そのほか、額など、髪によって外用薬がしっかり塗布されていないこともまれにあります。
髪型でニキビを隠そうとすることで、逆にニキビを悪化、誘発させることになりうるということを認識してください。

便秘

便秘により腸内に残留した分解物が異常発酵し、有毒物質を産出します。
それが腸管から吸収され、一部体表から代謝される際に活性酸素を発生し、ニキビが悪化される原因となります。
便通を良くするために、規則正しい生活と適度な運動、植物繊維の多い食事を心がけることが大切です。
また腸内環境(腸内フローラ)を改善することは大切です。 腸内腐敗の原因となる悪玉菌を減らし、便秘を解消する善玉菌を増やす食生活(植物繊維やヨーグルトなどの摂取)を心がけましょう。

日焼け

紫外線による活性酸素の発生はニキビの炎症を増悪させる原因となります。
また、日焼けにより表皮の角化が促進しニキビを誘発、悪化させます。

衣服

衣服はできるだけ清潔なものを身につけるように心がけましょう。
制服など、毎日身につけるものはこまめに洗濯してください。
顎下~首のニキビが気になる方は患部に触れるような服装(タートルなど)はできるだけ控えましょう。

食生活

【食生活について】
バランスのとれた食事を心がけましょう。
身体組織全体の栄養バランスの低下は内分泌系、皮膚への異常を招きます。
ニキビと食事の関係については個人差があり、医学的に因果関係を証明するのは難しく、これを食べるとニキビができるというようなことが証明されているわけではありません。
しかし、偏った食生活が明らかにニキビに影響を及ぼしているということは、どなたも経験的に認識しているのではないでしょうか。
特に乳脂肪、チョコレート、ナッツ類などの過剰摂取はニキビを誘発しやすいと言われます。
(ニキビの悪化を招くと言われる食物だけが原因でニキビが発生、悪化するわけではありません)

食物繊維 腸の内容物を送り出す蠕動運動を促進するため、便秘の防止になります。

ビタミン群の不足により、ニキビを悪化させることが分かっています。
・ビタミンA不足 顎周辺のにきび
・ビタミンB2、B6不足 皮脂分泌亢進
・ビタミンC不足 活性酸素除去能の低下

飲酒(アルコール)
・偏食や寝不足につながる、喫煙などの悪環境、炎症促進
・胃酸低下(ビタミンB2吸収低下させる)
・肝機能低下 ビタミンなどの貯蔵能力低下

糖分 ビタミンB群の消費量増加し、さらに糖分は脂肪に代謝されるため、皮脂分泌量の増加につながる

脂肪分 皮脂分泌量増加、皮脂の質的変化

ニキビに良い食事
牛肉、魚、野菜(豚肉の脂肪は良くないと言われている)などバランスのとれた食生活
1日25~30種類以上の食材を目安に
ビタミンA レバー、ニンジン、ほうれん草、など
ビタミンB2 レバー、納豆、いわし など
ビタミンB6 タコ、大豆、イカ、セロリ など
ビタミンC レモン、イチゴ、アセロラ、など